執着魔法使いの美味しい求愛
 それが、王宮魔法使いたちによって調査された結果である。
 ルトヘルがそれをティルサに包み隠さず伝えたのは、その事件が起こってから五日後のことだった。
 ティルサもやっと落ち着き、笑顔を取り戻し始めていた。その状態のティルサに、真実を告げるのは酷なのではと思ったルトヘルであるが、何よりも彼女がそれを望んだ。
「ありがとう、ルトヘル。本当のことを教えてくれて」
 そう言った彼女は、少しだけ悲しそうに微笑んでいた。
 ルトヘルも、あの事件の後始末のために、忙しく王宮へと通っていた。
 首謀者が全てを吐き出したため、彼もやっと休みが取れた。
 そして今、ティルサの部屋で二人、ソファに並んで座り、お茶とお菓子を嗜んでいる。日はまだ充分に高い。
「私も父さんも。あの店は『誰でも気軽に立ち寄れる魔宝石店』をコンセプトに立ち上げた店だったの。でもね、売れるのはいい魔宝石ばかり。安くて手軽に買えるようなものは見向きもされなかった。きっと、場所がよくなかったのよね」
「そうだね。ティルサは今でも魔宝石店で働きたい? オレと結婚しても」
< 135 / 147 >

この作品をシェア

pagetop