執着魔法使いの美味しい求愛
 口をもぐもぐとしているティルサは、恨めしそうにルトヘルを見つめていた。
 ルトヘルは彼女の胸元に零れたクッキーの欠片をペロリと舐め取る。
「ル、ルトヘル。何するのよ」
「君がオレの愛を食べ過ぎると、太るだろう? だから、オレはこうやって君が太らないように、協力しているんだよ。それに、オレは大きい胸が好きなわけじゃない。ティルサの胸だから好きなんだ」
「んっ、もう。そんな協力、いらないから……」
 そう言いつつも、ティルサの身体はルトヘルによって溶かされていくのだ。
 魔力を与え、貰う。それが魔力交換。
 魔法使いではないティルサにはできない行為であるため、ルトヘルが一方的に与え、欲しいと思ったら勝手に奪う。
「駄目だよ、ティルサ。オレの魔力に慣れてもらわないと。そうしないと、新しい命が生まれないから」
 彼女の瞼に、優しく口づけを落とす。
 魔宝石が散りばめられたカーテンが、太陽の明かりを反射させて、キラキラと輝いていた。

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