執着魔法使いの美味しい求愛
「やっぱり……。そういう話があったのね」
「子どもの頃の話よ。私もルトヘルも、ちょっと他の魔法貴族よりも魔力が強いから。だけど、私はルトヘルとは結婚したくないし。むしろ、顔も見たくないし。だから、あいつを選んでくれたティルサには感謝しかない」
 この場にいないルトヘルであるが、ものすごく酷い言われようである。
 なぜかバーバラも、頷いている。
「もしかして。あのパーティーに参加した魔法貴族の人たちは、その、私が太っていた原因を……」
「力ある魔法貴族なら気づいたでしょうね」
「わたくしは、わかりませんでしたわ。ですが、今は知っております」
 バーバラまで笑っているので、ティルサの頬は急に熱くなった。
「いいのよ、ティルサ。あいつの性格は、一生直らないんだから。あいつの重い愛を受け止められるのは、ティルサだけよ。ティルサがいてくれるから、あいつも王宮魔法使いとしての仕事も、それなりにこなしているようだし。魔法公爵としても、それなりにやっているようだし」
「それなりに、って……」
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