執着魔法使いの美味しい求愛
 聞かないほうが良かったような話が、次から次へと溢れ出てくる。
「ルトヘルについては、いろいろと言いたいことはあるけれど……。あのね、さっきから魔力を感じるのよ」
 エリンの言葉に、ティルサは首を傾げる。
「ようするに、わたくしたちはお邪魔ということですわね」
 バーバラがティルサの後ろを見つめている。ティルサもバーバラの視線の先を確認するために振り返る。
「ルトヘル」
 ティルサは愛おしい婚約者の名を呼んだ。
「いらっしゃい、バーバラ嬢。ティルサが世話になっている」
「いいえ。お招きいただきまして、ありがとうございます」
「これからも、ティルサと仲良くしてくれ」
「はい」
「……って、ルトヘル。私のことは無視?」
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