執着魔法使いの美味しい求愛
「お嬢様、ルトヘル様がいらっしゃったのですが……」
マクシムの表情からは、感情を読み取ることができない。彼は、ティルサが生まれたときから、お目付け役として付かず離れずのところにいる。イリスとどのような関係にあるのかも、詳しくはわからない。
「わかったわ。準備してから行くから。そう伝えてちょうだい」
承知しましたと、頭を下げたマクシムは部屋を出ていった。
ティルサは今日、ルトヘルから夕飯に誘われなかった。そして、今日は彼の誕生パーティーの五日前だ。そろそろここに来るだろうと思っていた。
ミルテを呼び、髪型を直してもらってから、応接室へと足を向ける。
重厚な扉を叩こうとすると、中から楽しそうな声が聞こえてきた。少しためらってから、ティルサは扉を叩く。
「ティルサです」
中へ入ってくるようにと促す声は、イリスのものだった。
「お待たせして、ごめんなさい。お父さんも一緒なの?」
「ああ、ルトヘルくんから、大事な話があると言われたからな」
ティルサは豪快に笑うイリスに軽く視線を向けてから、渋々と彼の隣に座った。
目の前のルトヘルは、優しく微笑んでいる。彼の特徴でもある黒くて長い髪は、今日も高い位置で一つに結わえてあった。
マクシムの表情からは、感情を読み取ることができない。彼は、ティルサが生まれたときから、お目付け役として付かず離れずのところにいる。イリスとどのような関係にあるのかも、詳しくはわからない。
「わかったわ。準備してから行くから。そう伝えてちょうだい」
承知しましたと、頭を下げたマクシムは部屋を出ていった。
ティルサは今日、ルトヘルから夕飯に誘われなかった。そして、今日は彼の誕生パーティーの五日前だ。そろそろここに来るだろうと思っていた。
ミルテを呼び、髪型を直してもらってから、応接室へと足を向ける。
重厚な扉を叩こうとすると、中から楽しそうな声が聞こえてきた。少しためらってから、ティルサは扉を叩く。
「ティルサです」
中へ入ってくるようにと促す声は、イリスのものだった。
「お待たせして、ごめんなさい。お父さんも一緒なの?」
「ああ、ルトヘルくんから、大事な話があると言われたからな」
ティルサは豪快に笑うイリスに軽く視線を向けてから、渋々と彼の隣に座った。
目の前のルトヘルは、優しく微笑んでいる。彼の特徴でもある黒くて長い髪は、今日も高い位置で一つに結わえてあった。