執着魔法使いの美味しい求愛
この応接室は、イリスが商談でも使う部屋。壁際のショーケースが黒い布に覆われているのは、高価な魔宝石が外光によって痛まないようにしているためだ。店に並べることができない魔宝石は、ここにある。信用のできる上客のみが、ここで商談の席につくことができるのだ。
部屋の天井からつり下げられている魔法灯が煌めいている。
「では、早速本題に入らせていただきます」
ミルテがお茶の準備を終え、一礼して立ち去るのを見届けたルトヘルの口調は、今までにもなく真剣であった。
「フレーテン商会長。どうか私に、ティルサ嬢への求婚の許可をいただけないでしょうか?」
求婚――。
その言葉がティルサの耳に飛び込んできたとき、身体中が熱を帯びた。求婚の意味くらい、ティルサだって知っている。
結婚を申し込むこと。つまり、ルトヘルはこれから結婚を申し込もうとしているのだ。誰にと問わなくても、この場の顔ぶれを見たら、誰だってわかるだろう。
それに彼は今、はっきりとティルサの名を告げた。だから、けしてそれはティルサの自惚れではない。
イリスは大きく頷いた、と同時にティルサの心臓は大きく音を立て始める。ドドドと急に暴れ始め、力強い血流が体中を駆け巡っていく。
部屋の天井からつり下げられている魔法灯が煌めいている。
「では、早速本題に入らせていただきます」
ミルテがお茶の準備を終え、一礼して立ち去るのを見届けたルトヘルの口調は、今までにもなく真剣であった。
「フレーテン商会長。どうか私に、ティルサ嬢への求婚の許可をいただけないでしょうか?」
求婚――。
その言葉がティルサの耳に飛び込んできたとき、身体中が熱を帯びた。求婚の意味くらい、ティルサだって知っている。
結婚を申し込むこと。つまり、ルトヘルはこれから結婚を申し込もうとしているのだ。誰にと問わなくても、この場の顔ぶれを見たら、誰だってわかるだろう。
それに彼は今、はっきりとティルサの名を告げた。だから、けしてそれはティルサの自惚れではない。
イリスは大きく頷いた、と同時にティルサの心臓は大きく音を立て始める。ドドドと急に暴れ始め、力強い血流が体中を駆け巡っていく。