執着魔法使いの美味しい求愛
「え?」
ティルサは知らなかった。ルトヘルがフレーテン商会の仕事に携わっていたことを。
「ティルサ、そんなに驚かないで。ずっとイリスさんには、ティルサと結婚させてほしいとお願いしていたんだ。その条件の一つが、フレーテン商会の仕事を覚えることだったから」
ティルサはもっと驚いた。ただでさえ王宮魔法使いとして忙しいルトヘルであるのに。
「ルトヘル、ごめんなさい。私、何も知らなくて……」
「ティルサが謝る必要はないよ。オレも、ティルサには黙っていてほしいって、イリスさんに言っていたから。あ、そうだ」
ルトヘルは思い出したかのように声をあげてから、先ほどから黒い布で覆われているハンガーラックへと歩み寄る。このハンガーラックも、イリスが衣装の商談をするときに使用するものだ。
「ティルサ。五日後のオレの誕生日パーティーに、このドレスを着て参加してほしい。君を、オレの大事な人――婚約者として、皆に紹介させて?」
ぱっと布を取り去ったそこには、ルトヘルの瞳と同じ色の碧色のドレスがかけられていた。
「ほぅ、これは見事だな」
数々のドレスを目にしてきたイリスでさえ、感嘆の声を漏らすほどの一級品である。
ティルサは知らなかった。ルトヘルがフレーテン商会の仕事に携わっていたことを。
「ティルサ、そんなに驚かないで。ずっとイリスさんには、ティルサと結婚させてほしいとお願いしていたんだ。その条件の一つが、フレーテン商会の仕事を覚えることだったから」
ティルサはもっと驚いた。ただでさえ王宮魔法使いとして忙しいルトヘルであるのに。
「ルトヘル、ごめんなさい。私、何も知らなくて……」
「ティルサが謝る必要はないよ。オレも、ティルサには黙っていてほしいって、イリスさんに言っていたから。あ、そうだ」
ルトヘルは思い出したかのように声をあげてから、先ほどから黒い布で覆われているハンガーラックへと歩み寄る。このハンガーラックも、イリスが衣装の商談をするときに使用するものだ。
「ティルサ。五日後のオレの誕生日パーティーに、このドレスを着て参加してほしい。君を、オレの大事な人――婚約者として、皆に紹介させて?」
ぱっと布を取り去ったそこには、ルトヘルの瞳と同じ色の碧色のドレスがかけられていた。
「ほぅ、これは見事だな」
数々のドレスを目にしてきたイリスでさえ、感嘆の声を漏らすほどの一級品である。