執着魔法使いの美味しい求愛
　そう口にしたルトヘルは、テーブルの上に置いてあった焼き菓子をつまむと、ティルサの口の中に入れた。
「んっ」
　むっと頬を膨らませながらも、ティルサはお菓子をもぐもぐと咀嚼する。
　ティルサだけであれば、果物を準備するミルテだが、今日はルトヘルがいたから焼き菓子を置いていったのだろう。
「美味しい？」
　口の中にお菓子が入っているため、ティルサはコクリと頷く。
「オレは、君がそうやって美味しそうに食べる姿が好きなんだ」
　まるでティルサの心の中を見透かしたような言葉であった。
　ごくんと、気持ちと一緒にお菓子も飲み込む。
「だけど、私は……。今の私の姿が、ルトヘルに相応しい姿だとは思えない」
「何が？」
「私、太ったでしょう？　醜いでしょう？　あなたはそんなにかっこいいのに……。隣に並んでも、釣り合いが取れているとは思えない。あなたと婚約をしたら、自信が持てるかと思ったけれど、余計に惨めになる」
　顔はルトヘルががっちりと押さえているため、動かすことができない。だから、視線だけを外す。
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