執着魔法使いの美味しい求愛
「だけど……。やっぱり、今の私は自信が持てない。あなたの隣に相応しいとも思えない。もっと、魅力的な女性になりたい」
　ティルサの口から出てくるのは、ルトヘルに相応しくないという否定的な言葉ばかり。
「そうか……。他の男が君に言い寄らないようにとしたことが、結果的に君から美しさを奪ってしまった形になったけれど。それは、君から自信を奪うことにもなるのか……」
「え、何？」
「なんでもない。こっちのこと」
　そこでルトヘルはニヤリと笑うと、音を立ててティルサに口づけた。
　不意打ちのようなキスに、ティルサはまた目を大きく開けてしまう。
「ティルサは今のままでも充分に可愛いよ。だけど、もっと可愛くなりたいって言うの？」
「可愛くなりたいのではなくて……。ただ、あなたの隣に立つのに、相応しい女性になりたいだけ」
「そうか」
　そこでルトヘルは「うん」と頷く。
「太るということは、体内にエネルギーを蓄えているからなんだ。だから、そのエネルギーを放出すれば、自然と痩せる」
「そうね。エネルギーの過剰摂取が、太る要因になるのよ。食べ過ぎたり、運動をしなかったり。だけど、私……。一年前から太り始めて、食事も運動も気をつけているつもりだったのだけれど……」
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