執着魔法使いの美味しい求愛

　つもり、だったから実際はできていなかったのだろうか。だから、痩せないのではないかと、何度もそう思っていた。
「オレが手伝うよ」
　ルトヘルの申し出に、ティルサは目を瞬いた。
「本当は、可愛いティルサを他の人間には見せたくないんだけどね。でも、もう婚約したならいいか。結婚したも同然だしね」」
　結婚、と言われてしまえば、ティルサの胸は高鳴ってしまう。
　そしてなおさら、綺麗な姿でウェディングドレスを纏い、彼の隣に立ちたいと思うのだ。
「そうよ、ルトヘル。結婚式までに、私は痩せるわ。そうしないと、ドレスも着られないでしょ？　あなたとの婚約発表をあんな姿で行ったこと、今でも後悔しているの。ルトヘルが贈ってくれたドレスは素敵だったけれど、それを着ている私が……」
「ごめん。本当にごめん。ティルサがそんなに気にしているとは思わなかった」
　ルトヘルは顔を伏せ、ティルサの背に両手を回して、抱き締める。
「どうしたの？　ルトヘル」
　うなだれるようにしてティルサの胸元に顔を埋めている姿は、まるで母親に甘える子どものようだ。彼のほうがずっと年上で、彼と釣り合うような女性になりたいと思っていたティルサにとって、ルトヘルのこのような姿を見たのは始めてでもある。
　そっと、ルトヘルの頭を撫でる。