執着魔法使いの美味しい求愛

「ティルサは、オレのことを許してくれるの？」
「許すも何も。どうかしたの？　今日のルトヘル、変よ？」
　そう、今日のルトヘルは変だ。先ほどの突然のキスも含めて。
「オレは……。ティルサのことを考えれば考えるほど変になる。不安になるんだ。ティルサがオレの元から離れていくんじゃないかって」
「まぁ」
　大げさに声をあげてみるものの、それはティルサも同じだった。太ってしまい、醜くなった自分から、ルトヘルが離れていくのではないか、と。
「私があなたの側を離れることはないわ」
「本当に？」
　ティルサを不安気に見上げてくるルトヘルが、可愛らしい。
「ええ。だって、私だってルトヘルのことがずっとずっと好きだったから……」
　その言葉を口にすれば、ティルサの頬も熱を帯びる。彼に向かって「好き」と伝えたのは、これが初めてだった。