執着魔法使いの美味しい求愛
 求婚を受け入れたものの、太っている自分に自信がなく、彼に気持ちを伝えることができなかった。
「だから。結婚式までには、痩せたいの。痩せて、あなたとお似合いの女性と言われたい」
「そうか……。わかった。ごめんね、ティルサ。たくさん悩ませて」
 ルトヘルが見上げるような視線を向けてきたかと思うと、すかさずティルサに深く口づける。唇同士が触れ合うだけの口づけではない。
 ルトヘルがティルサの口腔内に入り込み、蹂躙するように深く。
「ふっ……、ん」
 味わったことのない快感が、背中をつつっと駆け巡り、身体中が甘い疼きで包まれていく。
 ティルサの苦しそうな息遣いに気づいたのか、ルトヘルは名残惜しそうに唇を離した。
 顔が熱を帯びているのは、息苦しさと恥ずかしさが原因だ。
「ティルサ。覚悟して。いつかはこの先までを望むから」
 ルトヘルは、ティルサの唇を指でそっと撫で上げた。

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