執着魔法使いの美味しい求愛
「問題だらけでしょう? あの子、大丈夫なの?」
「何がですか?」
「あなたの魔力。どれだけ注いだの? あれだけあの子からあなたの魔力が漏れていれば、ある程度の力を持つ魔法使いだったら気づくわよ」
「それが狙いですから」
 やれやれ、とでも言いたそうに、ノーラは首を振る。
「あなたは魔法使い。あの子は魔力の無い人間。魔力が身体に慣れないと、あの子の負担になること、わかっているの?」
「わかっています。今、それを反省していたところです」
「あら、珍しい。あなたが反省するなんて」
 ノーラは肩をすくめた。
「母さんは、オレがティルサと結婚をすること。反対しないのですか?」
 ルトヘルがずっと聞いてみたかったことでもあった。魔法公爵家とただの商人の娘。身分だけを見れば、釣り合わない。
「反対? できるものならばとっくにしているわ。あの子のためにもね。だけど、反対したところであなたが諦めるわけないでしょう? だったら、あの子を守るほうに徹したほうがいいと思ったわけ。私の義理の娘にもなるわけだしね。娘を悲しませるようなことをしたら、息子をどういたぶってやろうか、考えるだけでも楽しみだわ」
< 63 / 114 >

この作品をシェア

pagetop