執着魔法使いの美味しい求愛
第四章
 魔宝石店での仕事が終わる頃、ルトヘルが毎日迎えにくるようになった。その後、彼の屋敷で少しだけ時間を共にし、フレーテン家の屋敷まで送ってもらう。
 つまり、三日に一度だった夕食を一緒に過ごす時間が、毎日になったのだ。
 その食事の場には、オスクとノーラまでもいる。だから夕食の時間のルトヘルは、不機嫌そうに顔を歪ませている。
 食後に彼の両親と少しでも話をしようとすると、すぐにルトヘルに腕を掴まれて部屋へと連れていかれた。
 部屋に入った途端、ルトヘルはティルサと向かい合い、見下ろしてきた。
「ティルサも、オレの両親が迷惑だったらはっきりと言っていい」
 ティルサよりも、そう言った彼のほうが迷惑そうに見えた。
 だが、それよりもティルサは緊張していた。今、彼女がいる場所は彼の部屋。
 四柱(しちゅう)式の大きな寝台があり、くつろぐためのソファ。それから、物を書くための机。床にはふかふかのカーペットが敷かれているが、余計な調度品がないところが、ルトヘルらしいと思う。
 この部屋に来るのは十回目だというのに、ティルサはまだ慣れなかった。
「結婚したら、もっと大きな部屋にうつる予定だ。今は、両親がいるから……」
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