執着魔法使いの美味しい求愛
 てっきり散歩などのように、身体を動かす運動をすると思っていたのだ。身体を曲げたり伸ばしたりの運動などをするのかと思っていた。
 先日、それを疑問に思いルトヘルに尋ねてみたところ「ティルサの身体は、しっかりと運動してるだろ? 心臓がいつもより早く動いている」と返ってきた。どうやら、ティルサの心臓がバクバクと激しく音を立てることが、痩せることに繋がるらしい。
 深い口づけもその一つであると、彼は言っていた。
 ルトヘルとの行為は、かれこれ十日程続いている。
 不思議なことに、顎のラインがすっきりと細くなったような気がしていた。
 いつものハイウェストのドレスも少し余裕が出てきたようで、ミルテがいつもよりきつめにリボンを縛り上げている。
 たった十日であるのに、ルトヘルと続けている行為の結果が、見え始めてきた。となれば、やはり彼の言っていることは正しいのだろうか。
「ティルサ。今日は、もう少し君に触れてもいい?」
 ルトヘルの指は、ティルサの唇を撫でている。
「え、えぇ……。私も、ルトヘルに触られるのは嫌いじゃないから」
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