執着魔法使いの美味しい求愛

「ルトヘル」
　名前を呼んでみるものの、ルトヘルは固く口を結んだまま、ティルサを見ようともしない。
　間違いなく、怒っている。
　ティルサが連れていかれた先は、ルトヘルの部屋だ。乱暴に扉を開け、ティルサを部屋に押し込めると、また音を立てて扉を閉めた。
「ルトヘル」
　彼の名を呼ぶと、無理矢理口を塞がれた。
　息を継ぐ間もないほど、彼はティルサの唇を貪る。隙間から呼吸を求めようとすると、甘い声も一緒に漏れる。その声さえも、彼は飲み込むかのように、荒く口づける。
　ただの口づけであるはずなのに、いつもティルサの身体はその甘さに翻弄され、立っていられない。ルトヘルがしっかりと抱え込み、そのままソファへと連れていかれる。
　ソファの上に押し倒されると、ルトヘルの口づけは場所を変えていく。
　いつの間にかドレスもはだけ、膝が露わになっている。