執着魔法使いの美味しい求愛
 ティルサは痩せていくにつれ、次第に自信を取り戻すことができるようになっていた。
 見た目が変わると、気持ちも明るくなるから不思議なものだ。
 それに、ノーラから受ける教育も、ティルサに気持ちを強くさせる要因の一つとなっていた。
 魔法貴族について全く何も知らなかったティルサに、一から丁寧に指導するノーラには感謝の気持ちしかない。
 今では、魔法貴族名鑑の中身もすっかりと暗記した。
 元々、魔宝石を扱う仕事をしていた彼女は、物事を覚えるのが得意でもある。
 また礼儀作法についても、ノーラとエリンが先生役を買って出てくれたため、難なく身についている。
 だからノーラは口にしたのだろう。
「ねえ、ティルサ。お茶会に参加してみない?」
 うららかな陽気に誘われて、テラスでノーラとお茶を飲んでいるときだった。
「お茶会ですか?」
 ティルサが尋ねると、ノーラは優雅に頷く。形の良い唇から紡ぎ出される言葉も、落ち着いたものだ。
「ちょうどね、ミクリナ公爵夫人からお茶会に誘われていて。良かったらあなたも一緒にということだったから。それに、バーバラはあなたと年も近いわ」
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