執着魔法使いの美味しい求愛
 流行遅れや体型の変化で着なくなったドレスは、孤児院へと寄付をしている。ドレスそのままで寄付をするのではなく、余計な装飾品はとり、子供たちが着やすいようにと仕立て屋が仕立て直すとのこと。
 これは、シラーニ魔法公爵家が長年続けている慈善活動の一つであった。
「ですが……。また、太るかもしれません」
 ティルサとしてはそれが怖かった。
 太った原因は結局わからないままである。
 そして痩せたのは、ルトヘルのおかげ。彼が口にしている「心臓の運動」のおかげで、日に日に痩せている。
「それは、大丈夫よ」
 自信満々口にするノーラには、全て見透かされているような気がして、頬が熱を帯びた。

 仕事から戻ってきたルトヘルの着替えを手伝いながら、ティルサはお茶会に参加することになったことを伝えた。すると、彼は盛大に眉根を寄せる。
「大丈夫なのか?」
「何が?」
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