執着魔法使いの美味しい求愛
「ティルサが、他の人たちからいじめられるんじゃないかって、不安になる……」
「大丈夫よ。お義母様もエリンもいるから」
 だから不安なんだよな、とルトヘルが呟いたような気もするが、それがはっきりとティルサの耳に届いたわけでもない。
「ルトヘルの婚約者として認めてもらえるように、頑張るわ」
 ティルサがそう口にすると、ルトヘルは口元を綻ばせる。
「お茶会に参加するのも、オレのため?」
「ルトヘルのため、というよりは自分のためね。みんなに認めてもらいたいの。さすが、あなたの婚約者だって」
 ルトヘルのシャツの一番上までボタンを留め終えたとき、彼がぎゅっとティルサを抱き締めた。
「やっぱり、オレのティルサは可愛い。可愛すぎて、食べたいくらいだ」
「ま、また。ルトヘルはそんなことばかり言う」
「キスしていい?」
 そして、遠慮なくティルサを求める。それは唇同士が触れ合うキスではなく、身体が蕩けてしまうような熱いもの。
 朝も、夜も。そうやってティルサはルトヘルによって身体を溶かされる。
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