高嶺のパイロットは、秘密の双子とママを愛で倒す~地味な私が本命だなんてホントですか?~
「レン、しってるよ。パパのしゅきなものはね~、ママ!」

 元気よく言った蓮に向かって、凛は唇の前に人さし指を立てる。

「し~だよ! パパ、ないしょっていってた」
「わ、はわわ」

 約束を思い出したらしい蓮が慌てて口を塞いでいる。

(パパの好きなものはママ……黎治さん、私の知らないところでふたりとそんな話をしていたんだ)

 目頭が熱くなって、思わず涙がこぼれた。

「ママ、どうちたの?」
「ママがえ~んしたら、きっとパパもないちゃうよ~」

 ふたりは慌てたように琴音の背中を撫でてくれる。

 その手は小さいけれど、大きな大きな愛を感じた。

「ふたりとも、ありがとう。大好き!」

(こんなに強い味方がふたりもいるんだもん。弱い自分とは、今度こそさよならしよう)
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