ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
一緒にランチをしながら現場の声を聞かせてほしいということで、そんなに急ぎの用とは思えないのだが……パワハラとは無縁な性格の彼が『どうしても』と懇願してきた。
(現場の声、か。なにか急ぎで調査したい案件があるのかもな)
そう考えて、承諾した。
「承知いたしました。長時間でなければ大丈夫です」
双子が眠ってしまう前までには、絶対に琴音のところに行きたい。そこだけは確約してもらって、黎治は電話を切る。そのまますぐに琴音にも連絡して事情を説明した。
翌日。社長に指定された店は銀座の料亭。
酒を飲む可能性を考慮して、地下鉄を使った。店から一番近い出口を出たところで、誰かに声をかけられた。
「永瀬さ~ん!」
「……櫻木さん?」
航空専門誌の記者、沙里がそこにいた。
「びっくりしました、奇遇ですね」
「うふふ。偶然じゃありませんよ。永瀬さん、これから『音羽』に行かれるんでしょう? 私もなんです」
黎治の向かう料亭の名をさらりと言い当てて、彼女は意味ありげに口元をほころばせた。
(現場の声、か。なにか急ぎで調査したい案件があるのかもな)
そう考えて、承諾した。
「承知いたしました。長時間でなければ大丈夫です」
双子が眠ってしまう前までには、絶対に琴音のところに行きたい。そこだけは確約してもらって、黎治は電話を切る。そのまますぐに琴音にも連絡して事情を説明した。
翌日。社長に指定された店は銀座の料亭。
酒を飲む可能性を考慮して、地下鉄を使った。店から一番近い出口を出たところで、誰かに声をかけられた。
「永瀬さ~ん!」
「……櫻木さん?」
航空専門誌の記者、沙里がそこにいた。
「びっくりしました、奇遇ですね」
「うふふ。偶然じゃありませんよ。永瀬さん、これから『音羽』に行かれるんでしょう? 私もなんです」
黎治の向かう料亭の名をさらりと言い当てて、彼女は意味ありげに口元をほころばせた。