ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
六 虹色の明日へ
六 虹色の明日へ


 一週間後。自宅マンションで待っていた黎治のもとに、沙里がやってくる。約束どおりの時間だ。

「ようこそ」
「おじゃましま~す。うふふ、永瀬さんの自宅に招かれるなんて夢みたいです」

 彼女は媚をたっぷりと含んだ視線を送ってよこす。黎治はそれをさらりと受け流し、愛想笑いを浮かべた。

「プライベートを取材したいということなら、ここが一番いいかと思って。――リビングのほうへどうぞ」

 黎治の案内で、沙里はリビングに足を踏み入れる。

「え?」

 その瞬間、彼女はピクリと頬を引きつらせた。きっと、黎治とふたりきりだと勘違いしていたのだろう。

「はじめまして」
「お会いできて光栄です!」

 笑顔で彼女を出迎えたのは、和志とその妻である桜。

「あの、永瀬さん?」

 不満そうにこちらに顔を向けた沙里に、黎治はにっこりとほほえみ返す。

「自分のことは意外と自分ではわからないから。親しい友人に話をしてもらおうと思って呼びました」

「な、なるほど。そういうことですね」

 がっかりした様子で肩を落とす彼女だったが、すぐに気持ちを切り替えたようだ。

「早速、ご友人に紹介してもらえるなんて嬉しい!」

 リビングテーブルを囲む形で、四人が座る。黎治はまずふたりを沙里に紹介する。

「同僚のパイロットと、その奥さん。桜さんはBBL航空の社長令嬢でもある。櫻木さんのお父さまは、うちのメインバンクの頭取だから今後も会う機会があるかもしれないですね」

 桜はパッと顔を輝かせて沙里に向き直る。

「まぁ、父がいつもお世話になっているんですね」
「こ、こちらこそ」
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