ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
「うん。さすがにこの先の邪魔はできないと思って」
「うふふ、そうよね。琴音さん、蓮くん、凛ちゃん。お喋りはまた今度!」
「ふたりとも、ありがとう。助かったよ」

 黎治の礼に、ふたりはクスクスと笑う。

「いえいえ、むしろ、うちの父って黎治さんの疫病神よね。本当にごめんさい」
「あぁ、たしかに……否定できないかも」

 桜の言葉に和志も苦笑いを浮かべる。

「でしょう? 早とちりに気をつけるよう、私からガツンと言っておきますから!」
「それじゃあ、あとは四人でごゆっくり」

 そんな言葉を残して夫妻は帰っていた。

「この先……って、これからなにかあるんですか?」

 小首をかしげた琴音に黎治は目を細める。

「すぐにわかるよ。さぁ、座って」

 彼に促され、琴音と子どもたちはリビングのソファに腰かけた。黎治はリビングの棚から、綺麗にラッピングされた品物を持って双子の前にかがみ込む。

「これはふたりに。パリのお土産だよ」
「おみや?」
「パリ?」

 ふたりにはパリという単語がピンとこないようだ。

「少し遠くの外国だ。美しい街だから、いつか四人で一緒に行こうな」

 パリは理解できなくても、『四人で一緒に』はわかったのだろう。ふたりは満面の笑みで「うん!」とうなずく。

「ありがとうございます。ふたりとも、開けてみたら?」
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