ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
「そ、そういう意味では……そもそも次って……」

 からかわれている。わかっていても、黎治のペースにのせられ翻弄されてしまう。甘い笑みを見つめている間に、気がついたら唇を奪われていた。

「んっ」

 舌先をからめとられて、熱い吐息が交ざり合う。すぐに息苦しくなってしまい、酸素を求めて喘ぐ琴音に彼はクスクスと笑う。

「初めてのわりに、男を煽るのがうまいな」
「――え?」
「今夜はキスで我慢しておこうかと思ってんだが……無理そうだ」

 黎治は琴音の背中に手を添えて、そのままふわりと横抱きにする。とんでもなく色っぽく、悪い笑顔が琴音を誘惑する。

「どうしようもなく、君が欲しくなった」

 彼に組み敷かれて、琴音の身体はふかふかのベッドに沈む。

「な、永瀬コーパイ……その、あの」
「仕事が頭をよぎるから、その呼び名はやめてくれ。黎治でいい」

 耳元でささやく唇が、今度は琴音の白い首筋を這う。くすぐったくて、肩がびくりと跳ねる。

「ほら、呼んでみろ」

 言いながら、彼は琴音の喉に、鎖骨に、次々とキスを降らせていく。

「早く呼ばないと、お仕置きするよ?」

 からかうような声音に責められる。大きな手が黒いシフォンスカートをたくしあげ、太ももを撫であげる。

「――あっ、れ、黎治さん」
「かわいいな、琴音は」

 緊張でガチガチにこわばる琴音の顔を、黎治が優しく撫でてくれる。
< 27 / 121 >

この作品をシェア

pagetop