ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
「少し重く感じる程度です。本当に平気ですから」

 黎治は申し訳なさそうな表情で、コツンと額を合わせた。

「無理強いするつもりはなかったんだが……正直……今夜は理性が飛んだ。悪かったな」
「い、いえ! むしろお礼を言わせてください。初体験が……いや最初で最後の体験の相手が黎治さんだったなんて……光栄すぎて怖れ多いです」
「最後?」

 彼は驚いたように目を瞬く。

「は、はい。自慢じゃないですけど、男性にはまったく縁がないタイプなので今夜がきっと最初で最後だと――え?」

 琴音の言葉を遮って、彼はふいに唇を重ねてきた。強引にねじ込まれる舌が琴音の呼吸を荒くする。

「はっ、れ、黎治さん?」

 琴音の視界にどアップで映る彼が、いたずらっぽく唇の端だけで笑う。

「最後にしてやる気なんて、まったくないけど?」

 琴音の心臓がドクンと大きく跳ねる。ドドドドと壊れそうな速度で鼓動が打ちつけた。

(それって、いったいどういう意味で……)
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