ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
 マメに連絡をくれるし、フライトスケジュールも教えてくれる。

 こうしてお土産をくれたり、お茶だけのために会ってくれたり……。

 と、そこまで考えて琴音は顔を青くする。

(あれ、これってむしろプレイボーイの特徴?)

 バラエティー番組で聞きかじった程度だが、そんな話を聞いたような気もする。

(え……じゃあ全然連絡もなく、会えない日はなにをしているかわからない男性のほうが誠実なの? それもおかしくない?)

 恋愛若葉マークの琴音には難しい問題すぎて、頭がパンクしそうになる。

(そもそも黎治さんは私をどう思っているんだろう? 好きですと告白しても迷惑じゃない程度の存在にはなれているのかな?)

「告白……してもいいのかな」

 口をついて出たその言葉に、自分が一番驚く。

 初めての夜の直後は、恋人どころか遊び相手だっておこがましいと思っていたのに……自分がこんなにも欲深くなるとは。

(誰かに……そうだ! 舞さんに話を聞いてもらおう)

 翌日。舞をランチに誘ってみたら、こころよくOKしてくれた。

「従業員食堂でいいよね? 今日の日替わり定食、ハンバーグらしいから」
「もちろんです」

 空港内には、ここで働く人間なら誰でもが自由に利用できる大きな食堂がある。ハンバーグは一番人気のメニューだ。

「私、お手洗いに寄ってから行きますね」
「了解。じゃあ、私は先に行って席を確保しておくよ」
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