高嶺のパイロットは、秘密の双子とママを愛で倒す~地味な私が本命だなんてホントですか?~
彼は既婚者ではなかった。それなら、双子の存在を隠し続ける必要はないのかもしれない。
そんな考えが浮かびはするが、今すぐに判断するのは事が大きすぎる。
なにから考えたらいいのか、どう返事をすればいいのか、琴音は口ごもってしまう。
黎治がふぅと細く息を吐く。
「なにも言わなくていいよ。その顔で全部わかったから」
「――あのっ」
弾かれたように顔をあげた琴音に、彼は優しい笑みを浮かべる。それから、名刺を一枚取り出して裏になにか書きつけた。
「プライベートの番号だ。あの頃と変わっていないが、君はもう俺の連絡先を削除していそうだから……」
「うっ」
図星だった。うっかり連絡してしまわないよう、黎治の番号は三年前に削除済み。
「どうだ? パンケーキ、おいしいか?」
パンケーキに夢中になっている双子に、黎治は顔を向ける。
「うん」
「でも、ママのがいちばん!」
「……そうか」
慈しむような瞳で黎治はふたりを見つめた。その姿に琴音の胸はギュッと強く締めつけられた。
「――気持ちの整理がついたら、連絡をくれないか? 待ってるから」
言って、黎治は名刺を琴音に手渡した。
この先の話はふたりの前ですべきじゃない。黎治もそう思って、気遣ってくれたのだろう。
自分たちのぶんは出すと主張したが、会計はすべて黎治が負担してくれた。店を出た琴音は彼に深々と頭をさげる。
そんな考えが浮かびはするが、今すぐに判断するのは事が大きすぎる。
なにから考えたらいいのか、どう返事をすればいいのか、琴音は口ごもってしまう。
黎治がふぅと細く息を吐く。
「なにも言わなくていいよ。その顔で全部わかったから」
「――あのっ」
弾かれたように顔をあげた琴音に、彼は優しい笑みを浮かべる。それから、名刺を一枚取り出して裏になにか書きつけた。
「プライベートの番号だ。あの頃と変わっていないが、君はもう俺の連絡先を削除していそうだから……」
「うっ」
図星だった。うっかり連絡してしまわないよう、黎治の番号は三年前に削除済み。
「どうだ? パンケーキ、おいしいか?」
パンケーキに夢中になっている双子に、黎治は顔を向ける。
「うん」
「でも、ママのがいちばん!」
「……そうか」
慈しむような瞳で黎治はふたりを見つめた。その姿に琴音の胸はギュッと強く締めつけられた。
「――気持ちの整理がついたら、連絡をくれないか? 待ってるから」
言って、黎治は名刺を琴音に手渡した。
この先の話はふたりの前ですべきじゃない。黎治もそう思って、気遣ってくれたのだろう。
自分たちのぶんは出すと主張したが、会計はすべて黎治が負担してくれた。店を出た琴音は彼に深々と頭をさげる。