高嶺のパイロットは、秘密の双子とママを愛で倒す~地味な私が本命だなんてホントですか?~
 しっかり距離を縮めることができたら、そのときはふたりに真実を伝えよう。黎治と相談して、そう決めた。

「琴音。持ちものセットのタオルってフェイスタオルでいいのか? バスタオル?」
「お昼寝用なのでバスタオルです!」

 ふたりを寝かしつけたあと、黎治は明日の保育園の持ちものを準備中だ。

 ただ子どもたちと遊んで帰るのではなく、ちゃんと育児の地味で大変なところも覚えようと奮闘してくれている。嫌がる子どもたちの歯磨き、保育園の荷物の準備、新しく買った洋服に名前を書く……協力者がいるありがたさに、なんだかじ~んとしてしまう。

(誰かと『大変!』って言い合えるだけで、こんなにも気持ちが軽くなるのね)

「なるほど。毎日バスタオル二枚をふたりぶんか……洗濯が大変だな」

 しみじみとした彼のつぶやきに、琴音はクスクスと笑う。

「洗濯機で洗えるタオルなんて楽勝です! 一番の強敵は泥汚れですね。でも、それもお漏らしの多かった新生児期に比べたら……」

 あの頃、リビングと洗面所をいったい何往復しただろうか。

「意思疎通のできない赤ちゃんをふたりも抱えて……大変だったよな。なにもしてやれなくて、本当に申し訳なかった」

 意図したわけじゃないが、新生児期の苦労話は黎治の罪悪感を刺激してしまったみたいだ。琴音は慌てて首を横に振る。
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