ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
 十二月も半ばを過ぎ、近づくクリスマスに街全体が浮かれている。
 今日は約束していた黎治の友人たちとの食事会。昼前に彼は車で迎えに来てくれた。

 運転は黎治、琴音は子どもたちと一緒に後部座席に座る。

(チャイルドシート、用意してくれたんだな)

 彼と自分たちの生活がどんどん重ねっていく感じが、たまらなく幸福に思える。

「子連れでお宅にお邪魔するなんて、本当にいいんでしょうか?」

 子どもも一緒なら店より自宅のほうが気を使わなくて済むだろうと、桜がホームパーティーを提案してくれたらしい。

「BBLの社長は社交的な方だし、桜さんもおもてなしが得意なんだと思うよ」
「あぁ、なるほど」

 上流階級のお嬢さまからしたら、ホームパーティーは日常の一部なのかもしれない。

(すごくキラキラした感じの女性なんだろうな。私、ちゃんとお喋りできるかな?)

 ある意味、店での食事より求められるものが多そうだ。琴音は急に不安になってソワソワしてしまう。

「あの、黎治さん。私と子どもたちの洋服、おかしくないですよね?」

 琴音はオフホワイトのツイードワンピース。蓮と凜はハイゲージのニットにタータンチェク柄のボトムスで、お揃い風にコーディネートをしてみた。

 ちなみに黎治はざっくりとしたグレーのニットにブラックのパンツ。彼もカジュアルスタイルなので大丈夫だとは思うのだが……。

「三人とも、ものすごくかわいい」

 真顔でそう言ってから、彼はふっと目を細めた。
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