ズルくて甘い包囲網~高嶺のパイロットはママと双子を愛で倒したい~
「もしかして緊張してる? 大丈夫、琴音はそのままで……誰よりも魅力的だから」

 思わずかっと顔が熱くなる。

「れ、黎治さんは口がうますぎます」
「本心だよ。なにせこの俺が……三年も忘れられなかった女だからな」

 甘い声が脳に直接響いて……とろけてしまいそう。

 和志たち夫妻の暮らす一軒家は、港区白金台の閑静な住宅街のなかにある。

 白い外壁に青い屋根、都心の一等地とは思えないほど大きな邸宅だ。インターホンを鳴らすと夫妻が門の前まで来て出迎えてくれた。

「お邪魔します」

 黎治の言葉に、夫妻は満面の笑みを浮かべる。

「ようこそいらっしゃいました。まぁ、さすが双子ちゃん! そっくりでかわいい」

 大和撫子を絵に描いたような美女がBBL航空の社長令嬢である桜。蓮と凜にもニコニコと話しかけてくれる。その口調や表情から人柄の素晴らしさが察せられて、琴音は一目で彼女に魅了されてしまった。

(優しそうな方でよかった~)

 彼女に寄り添っているのが夫である和志。親しみやすいぽっちゃり体形で、全身から癒やしのオーラがにじみ出ている。彼も黎治と一緒にイギリスのエアラインに出向し、同じタイミングで帰ってきたとのこと。

「今日はわざわざ来てくれてありがとね」 

「池田琴音と申します。こちらこそ、お招きくださってありがとうございます」 
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