高嶺のパイロットは、秘密の双子とママを愛で倒す~地味な私が本命だなんてホントですか?~
 真っ赤に染まった琴音の頬に彼の手が添えられる。そのまま、少し上向きにされて唇が重なる。

 三年と少しぶりのキスは痺れるほどに甘くて……琴音の心も身体もドロドロに溶かしていく。

「んっ」

 黎治の巧みな舌遣いに、下半身の力が抜けていく。クスリと笑った彼はそれを支えてくれる。

「おっと」
「もう、無理です。いっぱいいっぱいで……限界」

 上気した頬と潤む瞳で、琴音は彼を見あげる。

「やめてほしいなら、そんな顔見せちゃダメだろ。でもまぁ」

 必死に耐えるような顔で、黎治は細く息を吐く。それから、柔らかな唇が琴音の額に落ちた。

「これで我慢しとく。ものすごく不本意だけどな」

 黎治がキュッと琴音の手を握る。

「そろそろ蓮と凜のところに戻ろうか? ママがいないとふたりが不安になるかも」
「そ、そうですね」

 甘酸っぱい空気がどうにも気恥ずかしくて……琴音の言葉はしどろもどろだ。

 少し先に歩き出した彼の背中を見つめるだけで胸が切なく締めつけられる。

(あぁ、でも私はまだ大事なことを伝えていない)

 三年前と同じじゃダメだ。彼に幸せにしてもらうんじゃない、自分も変わらないと。

 幸せは自分で築いていくもの。琴音はそれを子供たちに教わった。

「れ、黎治さん!」
「ん?」

 軽く振り向く彼の姿に、愛おしさがあふれ出す。

「私も、黎治さんが好きです。三年前も今も、そして……これからも」
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