高嶺のパイロットは、秘密の双子とママを愛で倒す~地味な私が本命だなんてホントですか?~
 自分はきっと、沙里を必要以上に怖れすぎているのだ。そう結論づけて、琴音は気持ちを切り替えた。

 黎治がパリから帰国する日。

 琴音は今日から二連休なので、少し朝寝坊して蓮と凜と一緒に遅めの朝食をとる。

 メニューはふたりの大好きなパンケーキ。昨晩の残りのキャロットラペとバナナを添えれば、見た目もカフェっぽくオシャレになる。

 キツネ色の焼き目にメープルシロップをたっぷりかけたら、「いただきます」だ。

「おいひい」

 頬をモゴモゴさせながら言う蓮は、とってもかわいい。

「ママのがいちばんだね!」

 凜も、嬉しい言葉をかけてくれる。ふたりと過ごすこういう時間が琴音にとっては一番のご褒美だ。

(これからは、黎治さんも一緒に……大丈夫、きっとそうなる)

「ふたりとも! 明日はパパに会えるよ」
「わぁい」
「やったぁ」

 ふたりとも、もうすっかりパパっ子だ。

 黎治は今夜遅い時間に、パリから日本に戻ってくる予定だ。明日の昼、うちに顔を出してくれる約束になっていた。

(黎治さんも疲れているだろうし、うちでゆっくりランチがいいかな?)

 冷蔵庫の在庫を思い出しながら、なにを作るか考える。

(たしか前に、帰国した日は和食が食べたくなると言ってたよね?)

 肉じゃが、焼き魚、とんかつ? どれがいいだろうか。双子にも相談してみることにする。

「パパ、なにを作ったら喜んでくれるかな?」
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