男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す
愉快なファミリー
ーーカルテア国城門前に着いてしまった……。
「城門からエントランスまでが、とんでもなく長い距離だな!!」
「ほんとうですわね…… お兄様」
ーーどうなってるの、このやたら大きな城は……。
「おーーエレノア、まだ先の方だがあそこがエントランスのようだ。すごい数の人が集まっているようだが」
ーーすごい数の人ってどういうことでしょう?
「…… あれは、私達の出迎えのために集まった者達のようだなっ」
えっ……なんでそんな大ごとに……。
「おーーあそこにいるのは久方ぶりのアレクシス王子ではないか?」
「お兄様!! 馬車の中で実況して騒がないで下さい」
「…… だがエレノアも気になるだろ?」
「気になりませんから、お静かに!!」
「エレノアッ、アレクシス王子が笑顔でこちらを見ているぞ!! 手でも振ってみるか?」
「お止め下さい!! 恥ずかしい!!」
「エレノアはウェンスティール国ではアレクシス王子の前で散々恥ずかしげもなくやっていたではないか?」
「自国はいいのです!!」
ーーそれに理由があってやっていたのですよ!!
ご自分も私の男性不信の一因を担っているというのに……。
クーーッ、、
これだからお兄様と一緒にいるのは嫌なのよ!!
「おっ、馬車が停まった。着いたな」
わーー、エントランスに着いちゃったわ。
国王陛下と王妃殿下に失礼のないようにしっかり挨拶しなくては……緊張するわ。
なんでまた私はこんな羽目に……。
「ようこそカルテア国へ。ジョセフ王子、エレノア!!」
ーーどうなっているのかご説明願いたいわ、アレクシス王子!!
「よくぞ来てくれた!! 国王ハリーだ」
「王妃キャロラインです」
ーーハリー国王とても背が高いのね。
アレクシス王子とお兄様よりも高いわ。
「ご招待いただき大変光栄でございます。お初にお目にかかります。国王陛下、王妃殿下、ウェンスティール国王子ジョセフ・スティールにございます」
「ジョセフ、ずっと会いたかったぞっ!!」
「私もハリー国王とキャロライン王妃にずっとお会いしたいと思っておりました」
「ジョセフ王子、ウェンスティール国ではアレクシスを温かくお迎え下さってありがとうこざいます」
「いえ、アレクシス王子にカルテア国に来ていただき我が国王と王妃も大変喜んでおりました!!」
「そうですか…… それは有難いですわ」
ーーキャロライン王妃は、とてもお綺麗な方だわ。
ビックリするくらいアレクシス王子にそっくり!!
ハッ、、
いけないっ……次は私がご挨拶する番よっ!!
「ウ、ウェンスティール国王女のエレノアでございます。お会い出来て光栄です」
あーーまたやってしまった!!
噛んじゃったわよ……。
緊張したら噛んじゃうのどうにかならないかしら。
恥ずかしいわ。
「エレノアちゃーーん!!」
ーーえっ!?
キャロライン王妃……どうされたのですか……急にハグされちゃってますけど……!?
先程までのシャンとした雰囲気はどこへいってしまわれたの……!?
「エレノアちゃんに会いたくて会いたくて仕方なかったのよーー!!」
「母上、エレノアがビックリしちゃいますよ」
「だって仕方ないじゃない!! あの可愛い押し花の栞を貰って母は凄く嬉しかったんですもの!! ありがとう。エレノアちゃん」
「い、い、いえ…… とんでもございません……」
どうしたらいい!?
どうしたらいいのーー!!
「では、私も堅苦しい挨拶はやめてキャロラインと同じくエレノアとはハグで挨拶しようではないかっ」
……えっ!?
えーーーーっ!!
ーーなんで私は国王と王妃に抱きつかれているの?
「父上までお止め下さい。エレノアが困るではないですか!!」
「ハッハハハーーすまない、すまない。キャロラインに抱きつかれてキョトンとした顔のエレノアがあまりに可愛いものだから…… ついなっ」
「まぁーーハリーったら、ウッフフフーー」
ーーなんか想像してた感じの方々ではなかったわね。
とても愉快なファミリーですこと。