男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す

カボチャ姫は恋がわからない


 王城に帰って来たけど……今日は一日中ずっとドキドキして心臓がおかしかったわ……。
なにか重病な病いでなければいいのだけれど……。

ーーコンコン、

「エレノア様、エマでございます」

「どうぞ入って」

「エレノア様、今日は何度もドレスのご試着をされたので疲れたのではないですか?」

「うーん、そうね…… 疲れているのかしら…… なんだか今日一日胸がドキドキして様子がおかいしいのよ私……」

「えっ!? ご体調が優れないのですか? どんな風に胸がドキドキするのです? どういった時に起きるのですか?」

「そうね…… アレクシスが私のことを話す時や…… アレクシスが笑った時とか……? アレクシスの顔が近づいてきたりした時に胸が…… 胸がドキドキして変になるのよ……」

ーーどうしよう。
もし私の身に何かあればお母様が悲しむわ……。
でもこんなにドキドキするなんてどう考えてもおかいしもの。
やはり……私は病を……。

「エレノア様…… それって…… アレクシス王子に恋をしているということではないでしょうか?」

「えっ!? 恋…… 私が?」

まさかっ、、
私は男性不信なのよ!!
恋だなんてありえないわよっ!!

「私もブラッドさんに会ったりお話したりすると心臓がドキドキしますよ!!」

「…… 私は…… 私は…… そんなことはないはずよ!! 私は絶対に恋に落ちたりしないわっ!!」

「エレノア様…… 恋はいつの間にか落ちているものなのですよ!!」

「…………。」

ーーこの私が恋をしているだなんて信じられないわ。なにかの間違いではないかしら……。

ーーコンコン、

「エレノア、私だよ。アレクシスだ!! 今いいかな?」

ーーなんてタイミングでやってくるのっ!!

「ど、どうぞ……」

「入るよっ」

「ア、アレ、アレ、アレクシス…… 何かご用でしょうか?」

ーーなにを言っているの私は……。
動揺しまくりじゃない!!

「エレノア様、私はこれで失礼いたしますね」

えーーっ!!
エマーー私を置いていかないでーー!!
二人っきりにしないでよーー!!

「…… 今日はエレノアと王都へ行けて楽しかったよ」

ーーなんで私は今ドキドキしているの……?

「……私も楽しかったです」

「エレノアが楽しんでくれて良かったよ!! 二日後の舞踏会で私はエレノアとファーストダンスを踊りたいと思っているんだ…… 一緒に踊ってくれないか?」

まただわ……。
どうしょうもない程に鼓動が速くなっていく。
死んでしまうかもしれないわ!!
なんとか平静を装うのよ……。

「はい…… 私でよければ……」

「エレノアがいいんだよ!! だが私はそんなにダンスが得意ではないから、もしよければ明日一緒にダンスの練習に付き合ってくれないだろうか?」

「…… わかりました。では明日ダンスの練習をしましょう」

「ありがとう。では失礼するよ。ゆっくり休んで」

「はい……」

あーーもうダメかもしれない!!
心臓が持たない!!
二人でダンスの練習なんて出来るのかしら?
あれだけ恥を晒してきた相手に私は一体どうしてしまったの……。
これが恋なの?
恋しているの……私……!?


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