男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す
カボチャ姫のファーストダンス
ーーカルテア国三日目
アレクシスとの約束通りにダンスの練習のために大広間へ来たけど。
豪華絢爛だわ!!
シャンデリアの数も多いわね……。
目がチカチカする。
「エレノア、今日は私のわがままに付き合ってくれてありがとう!!」
お願いよーーそんな爽やかな笑顔を私に向けないでーー!!
今はやめてちょうだい!!
シャキッとしなければ……。
「いえ、大丈夫です」
ーー全然大丈夫じゃない!!
本当は全く大丈夫じゃないっ!!
「エレノアはダンスは得意なのかい?」
「そんなにダンスは…… 得意ではないですね……」
ーー幼少の頃からダンスは習っていたけど。
男の方と踊るのが嫌で何かと理由をつけては一緒に踊ったりすることを避けていたのよね……。
ーーはっ、、
そういえば私……男の方と踊るのが初めてだわ!!
まさにこれが私のファーストダンスよ!!
「エレノア、では練習をはじめよう。手をこちらに」
「あっ、はい……」
ーー緊張してしまうわ……。
アレクシスの顔が近い……ヒャーー!!
アレクシスの左手が私の背中に……キャーー!!
もう頭が真っ白よっ!!
ーーステップも何もかも飛んでしまった……。
チーーン。
私は一体なにをどうすればいいのーー!!
「エレノア、ちゃんと私がリードするから力を抜いて私に合わせて踊ればいいよ」
んっ?
あれっ、、
アレクシス……ダンスが上手いじゃないの!!
どうして……ダンスの練習なんかしなくても大丈夫じゃない。
ダンスの練習が必要なのは私の方だったわ。
グニッ、、
「うわっ、ご、ごめんなさい!! 足を踏んでしまったわ。痛かったわよね…… 大丈夫…… アレクシス?」
「大丈夫だよ!! 心配しないでいいからそのまま続けて……」
「わかったわ……」
ーーだんだんとステップも思い出してきたし、息も合ってきたかも。
今、私とても幸せかもしれないわ。
こんな気持ちは初めてよ。
私はやっぱりエマの言うようにアレクシスを好きなのかしら……。
アレクシスの手がとても温かい…。
ーー私は恋に落ちてしまったの?
「エレノア、少し休憩しよう。エレノアが好きなパンケーキを焼いてもらっているんだ。薔薇園で座って一緒に食べよう!!」
「ちょうど練習で体を動かしたのでお腹が空いていたので嬉しいです」
ーーアレクシスは私がパンケーキを好きなこともちゃんと覚えてくれている。
花や馬が好きなことも……。
もしかして……もしかして……アレクシスは私のことを好きなのかしら……そうなのかしら?
アレクシスが私を好きだといいのに……そう思ってしまう自分がいる。
やっぱり私は……アレクシスに恋しているのよ。
ーー私はアレクシスが好き。