男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す

不穏な足音


ーーカルテア国、四日目舞踏会の日

今朝もダイニングテーブルの上には沢山の種類のパンにフルーツの盛り合わせなどが次々と運ばれてくる。美味しそーー。
もう焼き立てのパンの匂いだけでヨダレが出ちゃいそうよ……。

「エレノアちゃん、今朝のお目覚めはいかがかしら?」

ーーキャロライン王妃は今日もお美しいわね。

「はい、とてもいいです!!」

「今宵の舞踏会でエレノアちゃんが選んだドレス姿を見るのが楽しみだわーー。庭園に咲く赤い薔薇のように綺麗な赤色のドレスだって、アレクシスが言っていたわ。ウッフフ」

ーーアレクシスがそんなことを言っているだなんて……なんだか恥ずかしいわ。

「…… はい、とても華やかなドレスを着れるので嬉しいです!!」

きっとあの赤色のドレスはキャロライン王妃のような方が似合うと思うわ。
私なんかとても着こなせそうにないもの……。

「試着した姿は見ていないから楽しみだよ!! エレノアは何を着ても似合うだろうけどね」

ーーアレクシス!!
そんなことを言わないでちょうだい!!
恥ずかしいわ……。
でも嬉しーー!!

「ちょうどね、私のお気に入りの赤い薔薇の髪飾りがあるのだけれど…… 今日の赤いドレスにとても似合うのではないかと思って持ってきたの。エレノアちゃん、もし良ければこれを貰って欲しいのよ。今宵の舞踏会で付けてくれないかしら?」

うわーー!!
ーー本当の赤い薔薇の花みたいに綺麗な髪飾り。
素敵だわ……。
こんなに綺麗な髪飾りを貰っていいのかしら?

「とても綺麗な髪飾りですね。私が貰ってもよろしいのでしょうか?」

「もちろんよっ!! エレノアちゃんだからあげたいの」

ーー私に似合うかしら……?
でも、そう言ってもらえるのは有難いわね。

「とても嬉しいです!! ありがとうございます」

いつもだったら舞踏会なんて嫌で嫌で仕方なかったけど、今は凄く楽しみにしている自分がいるわ。
もう待ちきれない!!

「アレクシス、エレノアのドレス姿を見るのが待ち遠しいであろう?」

ーーえっ、、
突然しれっとしたお顔で何を言うのです!!
ハリー国王!!

「そうですね。今から夜の舞踏会まで待ちきれません!!」

ーー私と同じことをアレクシスも思ってくれている。
でも……そんな恥ずかしいことを皆さんの前で言われると……嬉しいわ!!
とっても嬉しすぎるーー!!

「朝からお熱いことですね。この入れたてのコーヒーより熱いのでは?」

ーーまた何を言っているのお兄様っ!!

「本当だなっジョセフ。熱いなっ!! そうだろう、キャロライン?」

「ええ、そのとおりね。ハリー、ウッフフフ」

ーーまた何やら三人で始めたわね?
でもなんだか今は楽しいわ!!

「おっ!! そうだ、そうだ、今宵の舞踏会にはアンドレも久し振りに顔を出してくれるそうだ。アレクシスも従兄弟に会うのが楽しみだろう?」

「ええ、そうですね」

ーー従兄弟だったらアレクシスに似ているのかしら?

「そうそうアレクシス、リタも来るのよ!!」

「………。」

誰かしら?
リタって……?

「エレノアちゃん、リタはアレクシスの仲の良い幼馴染なのよ。小さな頃からよく二人で遊んでいてね。アレクシスにとってはお姉さんのような存在なのよ」

「そうなのですか。それはお会いするのが楽しみです!!」

ーーリタ様ってどんな方なのかしら?
アレクシスと仲の良い方にお会い出来るのはとても嬉しいわ。
いっぱいお話ししたいわね。
ーーあれっ?
さっきからずっとアレクシスは口数が少ないわね……どうしたのかしら?
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