男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す

素の私を知ってもらいます!!作戦一日目


 もうすぐディナーの時間ね。
あれから色々と考えてみたけど。
この縁談を破談にしてもらうにはどうしたらいいかしら?
んーー。
あっ、そうだわ!!
素の私を知ってもらえばいいんじゃないかしら!?
そうよっ!!
私は女性らしさとは無縁だもの!!
アレクシス王子に本当の私を知ってもらって幻滅してもらいましょう!!

ーーコンコン、

「エレノア様、もうすぐディナーのお時間ですのでダイニングへお越し下さい」

「エマ、ちょっと頼みたいことがあるの…… コルセットを緩めてもらえるかしら?」

「はい、かしこまりました。ハンナさんがコルセットをかなりキツく締めておられたので食事の際は辛いですよね」

「そうなのよーーもうねーー見栄えなんて、どーーだっていいから緩めてちょうだい!! 今からたっぷりお食事をいただかないといけないからねっ」

「エレノア様は食べることがお好きですものね。今晩のディナーはエレノア様の大好物のステーキもありますよ!! アレクシス王子もいらっしゃるので料理長もいつも以上に張り切っておられました」

「やったー!! ステーキラブよ!!」

エマにコルセットを緩めてもらって、だいぶ楽になったわ。
さぁーーダイニングへ向かいましょう。
見てなさい!!
度肝を抜かしてあげるわよ!!

⭐︎

「アレクシス、少しはゆっくりできたかい?」

「はい国王陛下、お言葉に甘えてゆっくりさせていただきました」

「二日間しかご滞在できないのが残念ですわ。もっと長くゆっくりしてもらえたら良かったのですけど……」

お母様、何を言うの!!
二日間も生きた心地しない状態で過ごす私の身になって下さい!!

「ありがとうございます。お気持ちは有り難いのですが政務もありますので……」

ーーそうよ、そうよ!!
王子だって暇じゃないのだからっ!!

「そうですわよね。ご滞在中は身体を休めてのんびりお過ごし下さいね」

「ありがとうございます」

「エレノア、明日はアレクシス王子と二人でゆっくり庭園でお茶でもしながら話すといいですよ」

えーーっ!!
二人っきりでゆっくりなんて話したくないのに……。

「はい、お母様」

「明日はよろしくお願いします。エレノア姫」

「こちらこそよろしくお願いいたします」

こちらはお願いしてる場合じゃないのよっ!!
それにしてもお腹が空いたわ……。

ーーコンコン、

「失礼いたします。お料理をお持ちいたしました」

わーーい!!
やっと料理が運ばれてきたーー。
料理長のレオの料理は最高に美味しいのよねー。

「さぁアレクシス王子、どうぞ召し上がって下さい。お口に合うと良いのですが……」

「はい、いただかせてもらいます」

口に合わない人なんていないわよーー。
レオの料理は絶品だもの!!
いただきまーーす!!
んーー美味しいーーしあわせー!!
緊張してたのとコルセットで朝も昼もろくに食べれてなかったからいつもより美味しく感じるわーー。

「本当にすごく美味しいですね!! それにこのステーキのお肉とても柔らかいですし」

そうでしょ、そうでしょ、隣国の王子さえも唸らせるとは……レオはやっばり凄いわ!!

「アレクシス王子にお褒めいただき大変光栄でございます。本日のディナーを担当しております、料理長のジュゼッペ・レオでございます」

「こんなに美味しい料理を滞在中にいただけるとは食事の時間が楽しみになりますよ」

「ありがとうございます。勿体ないお言葉です」

羨ましいでしょーーウフフ。
私なんて毎日食べられるのよ。
さーー今から作戦を開始するとしましょう。

「ねぇレオ?」

「いかがなされましたか? エレノア様」

「私…… ステーキをもう一枚食べれそうなの…… もう一枚食べてもいいかしら?」

「えぇ、もちろんですよ!! それでは焼いて参ります」

「ありがとう。レオ」

フフッ、王子の前でステーキをお代わりする女性なんて普通いないわよねーーましてや姫なんてねーー。
今きっと度肝を抜いてるはずよ!!
ーーあらっ、お父様達の目が点になっているわね。

「お、お恥ずかしいところをお見せして申し訳ございません。エレノアはステーキが好きなもので…… もしよろしければアレクシス王子もいかがですか?」

そうよねーーお母様、お恥ずかしいですわよね。
こんな出会ったばっかりの縁談相手の王子の前でステーキお代わりする娘なんて。

「いえ、私は大丈夫です。ですが…… もう一枚食べたくなる気持ちもわかりますよ。とても美味しいですし」

ーーそうは言っても内心はドン引きしてるはずだわ。

「エレノアはレオに頼んでよくお代わりするが、まさかこの場でもするとは思わなかったよ!! ハッハハーー」

お兄様もビックリなのねっ!!
あっ……お父様は固まってるわ。
まぁ気にしてる場合じゃないわね。

「今とーーってもお腹が空いてますの。だから三枚でも四枚でも食べれそうですわよ」

「エレノアッ!! アレクシス王子の前で、はしたないですよっ!!」

お母様に怒られちゃったわね。
いつもの私なら時と場合をわきまえますが今はマナーがなってなくとも良いのです!!
アレクシス王子に素の私を晒け出して幻滅していただかないと!!

「ハハハハッーーエレノア姫は素直な方なのですね。どうぞ私のことはお気になさらずに。いつも通りお過ごし下さい」

なんだか……妙にアレクシス王子にウケてしまっているわね。
呆れて笑うしかないって感じかしら?
だったら作戦成功だわ!!

「お言葉に甘えて…… いつも通り二枚目のステーキをいただきたいと思います」

私はそう言ってアレクシス王子にニッコリと笑いかけた。
今きっと幻滅しているはず。
フッフフ。

「プッハハハハハーーどうぞ、エレノア姫」

そうしてアレクシス王子と共にする初めてのディナータイムは終了した。
その後すぐにお母様に呼び出された私はお叱りを受けた。
だが明日も素の私を知ってもらいます!!作戦は続く……。
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