なかないでいいんだよ
約束されたさよなら
「私はここで寝るからメロはベッドを使ってね」

ベッドの下にバスタオルを何枚か重ねて、
薄いタオルケットをベッドの掛け布団の下から引き抜いた。

「ダメに決まってるだろ。音がベッドで寝て。ってかそれが当たり前だから」

「ダメだよ。私はメロをちゃーんと無事にお返ししなきゃいけないんだから」

「俺はどこだって慣れてるから。女の子にそんなことさせられません!」

急に女の子扱いされて
心臓がドクン、って大きく鳴ってしまう。

その心臓を落ち着かせる余裕も与えてくれないまま
何かを考える素振りを見せていたメロが
決心したように頷いた。

「音、一緒に寝よっか。ベッドで」

「は……はぁーっ!?」

「だってこのままじゃ埒あかないでしょ。俺も音も譲れないんだから。だったら間を取って一緒に寝るのが平和的解決だ」

「間ってなんの間よ!できるわけないっ!」

「じゃあ朝までこうやって押し問答してる?あーっ!俺の体って睡眠と密接なんだよねぇ…。寝不足で体調被害引き起こしちゃうかも。そしたら音、罰金取られちゃうかも…?」

「うっ…」

「ね?一秒でも早く安眠を与えないと音のお財布がどんどん軽くなっちゃうよ」
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