なかないでいいんだよ
「それじゃあね。気が向いたらまた遊びに来るから」

ペットカフェにメロを″返却″した。

レンタルする時にサインしたのとおんなじ同意書に、
きちんとメロを返したことの証拠としてもう一度サインした。

ペットカフェの入口のドアまで
メロが見送りに来てくれた。

「音」

「なぁに」

「大丈夫?ちゃんと眠れる?」

「メロこそ。大丈夫なの?」

「きっと。だから音が大丈夫じゃなくなったら、また一緒に眠ろう。ただ、丸まって」

「うん。ありがとう」

「じゃあ、元気で」

「うん。また、ね」

あと少しで十月。

あっという間に年末になって、
春がくる頃には
私だって何者かになれているのかな。

全然、今は分かんないけど。
一人でもちゃんと眠れるくらい強くなりたい。
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