なかないでいいんだよ
「メロへのやましさでそんなことを言うのは…今までのメロの苦しさをもっと抉ってるっていうか…。世の中は結局お金で、命までもお金で解決できて…。分かってるよ!?愛だけじゃ腹は膨れないって!お金がなきゃ今日一日生き延びることだって困難な世の中で…分かってるよ。でもそれじゃあ…あんまりじゃない…」
膝の上でキツく結んだ手を
メロの手のひらが包み込む。
私の顔を覗き込んで
微笑むメロの表情は優しくて
悲しかった。
「ありがとう。俺の為に怒ってくれて」
「当然でしょ…。私はメロの覚悟を知ってたから」
「俺もさ…最初はふざけるなって思ったよ。でもそれでキレてたらさ、それって俺は自分がしてきたことを認められたかっただけで、褒めてほしかっただけで、なんにも恋人の為なんかじゃねーじゃんって。命の限りがそこまで近づいてる恋人を使って正義のヒーローごっこしてただけの自分が堪らなく気持ち悪くなった。恋人の言葉は正しいよ。恋人がどこでどんな状況で生きていたって、生きていてくれるだけで愛してる。その想いを二度と通わせることはできなくても、恋人の命が続く限り、俺はどこかでひっそりとその命を愛したい。それだけでもう十分なんだよ。あいつはずっと怯えて苦しんできたから。解放されるのなら心からおめでとうを贈ってあげたいんだ」
こんな状況なのに
こんなにもメロに愛される恋人が羨ましかった。
覆すことのできない愛を
これからは一人で抱えて生きていくんだ。
″彼女″じゃなくて
″恋人″だとメロは言う。
永遠に。
変わることのない恋人。
その片鱗に触れることができていたら
抉られたメロの心を抱き締める権利が
私にもあったかもしれないのに。
「元気でいてね」
私のくちびるが言葉を音にできるのは
それくらいしかなかった。
膝の上でキツく結んだ手を
メロの手のひらが包み込む。
私の顔を覗き込んで
微笑むメロの表情は優しくて
悲しかった。
「ありがとう。俺の為に怒ってくれて」
「当然でしょ…。私はメロの覚悟を知ってたから」
「俺もさ…最初はふざけるなって思ったよ。でもそれでキレてたらさ、それって俺は自分がしてきたことを認められたかっただけで、褒めてほしかっただけで、なんにも恋人の為なんかじゃねーじゃんって。命の限りがそこまで近づいてる恋人を使って正義のヒーローごっこしてただけの自分が堪らなく気持ち悪くなった。恋人の言葉は正しいよ。恋人がどこでどんな状況で生きていたって、生きていてくれるだけで愛してる。その想いを二度と通わせることはできなくても、恋人の命が続く限り、俺はどこかでひっそりとその命を愛したい。それだけでもう十分なんだよ。あいつはずっと怯えて苦しんできたから。解放されるのなら心からおめでとうを贈ってあげたいんだ」
こんな状況なのに
こんなにもメロに愛される恋人が羨ましかった。
覆すことのできない愛を
これからは一人で抱えて生きていくんだ。
″彼女″じゃなくて
″恋人″だとメロは言う。
永遠に。
変わることのない恋人。
その片鱗に触れることができていたら
抉られたメロの心を抱き締める権利が
私にもあったかもしれないのに。
「元気でいてね」
私のくちびるが言葉を音にできるのは
それくらいしかなかった。