なかないでいいんだよ
くりんくりんのおめめのあの子はチワワ、
切れ長の目、つまんなそうにスンッて鼻を鳴らしながらもチラチラとこっちを気にしているうさぎ、
コロコロと人懐っこいハムスター。

親友が猫じゃらしでずっとおちょくっているのは…。

「シュナウザー…?」

名札に書いている文字。

シュナウザーってなんだか探偵みたいだ。
シャーロック・ホームズみたいな
チェックのケープマントが似合いそう。

「イケオジって感じでしょ」

「ん…まぁ…。なんで猫じゃらし?犬でしょ」

「遊べりゃなんだっていいのよ」

「えー…」

お客さんは私達の他にも
三組くらいの女性が居た。

一眼レフで本気の撮影会をしている人もいる。

推し活。

なんだか異様な光景だった。

お店の受付で
「十八歳以上のご利用はご遠慮いただいております」っていう紙にサインをした。

まだ在学中であることは隠した。

なんとなく、っていうか
やっぱりそんなに客足は良くないのか、
サインはさせるものの、実際は来るもの拒まずって感じで、そんなに深くは追求されなかった。
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