なかないでいいんだよ
一応、犬や猫の餌コーナーも覗いてみる。

ドライからウェットタイプ。
ペットのおやつまで揃っている。

その中からシーチキンみたいな写真と
お金持ちのおうちの猫みたいな、すごくリアルな猫が描かれている缶詰を手に取った。

あぁ。
もしかしたら、

健康被害、与えちゃうかも。

その隣の陳列棚からレトルトパックのキーマカレーも適当にカゴに放り込む。
甘口。
好みは分からない。

そもそも猫にカレーなんて
本来は絶対にNGだろう。

分かんないけど…。

コンビニを出たら
メロはそこから一歩も動かずに
ジッと大人しく待っていた。

よく調教されている。
逃げ出してもきっと、
このまま見逃されるのに。

自宅まではあと三百メートルくらい。
その間、私は何も話さなかったし
メロも鳴かなかった。

「ここが私のおうち。両親と私の三人家族。両親は共働きで二人とも帰りが遅いのがほとんどなの」

「ニャーァ」

「でも、二階の足音とか声って案外響くから騒いだりしちゃダメだからね?」

「ニャ」
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