いつか晴れたら、明日を描く。
そのままぼんやりしていると、不意にさっさっさ……、と草原を走り抜ける音が聞こえてきた。
なんとなく顔を上げると、私の通う高校と同じ制服を着た男の子が、びしょひしょになりながら、こちらへ走ってきているのが見えた。
え、なんでここに同じ学校の生徒がいるの。けっこう学校からは離れているはずでしょ。
なんて、意地の悪いことを思ってしまう私に嫌気がさした。……結局完璧になんか、なれていないじゃんか。
思わず下を向いて、小さくため息をつく。すると、近くに人影がおりた。さっきの彼だ。そして、そのまま私の座っているベンチに腰を下ろした。
「あーあ、びしょびしょになっちゃった。今日雨予報じゃなかったんだけど……」
「…………」
彼の言葉になんと反応していいのか分からず、口を閉じたままにする。彼はカバンからハンカチを取り出して、自分の服を軽くふいていた。
そして私の方をちらりと見て、彼は目を見開く動作をする。
「え、俺と同じ高校の制服じゃん。ねえ、君何年生?」
いきなり話をふられて、思わず硬直してしまう。
だけど彼は、そんな私の様子に気づいていないのか、笑顔で私を見つめている。