いつか晴れたら、明日を描く。



「さっきの数学で難問すらすら解いてる鈴音見たら、やっぱり鈴音って完璧だなって思っちゃった! やっぱり鈴音って凄いよねっ」


「え、あ、ありがとう……」


そんなに凄いことじゃないよ、と言いたくなったが、ここは言葉をぐっと飲み込む。〝ありがとう〟。これこそが、みんなが求めている言葉だ。


そのことを、私は知っている。


そしてそれとは裏腹に、私は小さく安堵していた。


よかった。ちゃんと、完璧だって思ってくれている。私は周囲の目から見たら、〝完璧〟なんだ。


よく言われる言葉だけれど、私はそれを聞くたびに心のどこかで安堵している。
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