いつか晴れたら、明日を描く。
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響きわたるセミの音。
街中に広がる野原の緑。
じりじりと地面を照りつける日差し。


そんな夏の気配を、全身で感じとりながら、先ほど頼み事を終えた私は今日も、いつもの道を歩いている。



今年は梅雨が短く、7月初旬である今日にはもう明けてしまっていた。


だからか、今年は夏が来るのがやけに早い気がする。


今日は夏本番、と言っても過言ではないような暑さをした日だった。


昨日のうちに運悪く制汗シートを切らしてしまったので、仕方なくポケットからハンカチを取り出して、首元の汗をぬぐった。


今私が歩いている通りは、建物がほとんどないため、日陰が少ない。


だから、この通りは夏の敵、と街の人には呼ばれており、夏になると人通りはほとんどなくなる。


それが、1人を求めているわたしには心地よい。


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