王子様が、私だけに甘過ぎます!
平凡…なわけがない!

Side:光樹

放課後デートは、駅一つ分を歩いての雑貨屋巡り。

葉子は、瞳を輝かせて一つ一つ丁寧に見て回ってる。
今はハロウィンカラーに染められ始めてる街並み。
やっぱり、デートするには、沢山雑貨店がある、此処を選んで良かったなぁとか思いつつ……。

可愛いコが、可愛い物を見て、「可愛いなぁ」って言ってるのを眺めて、「それの上を行くくらい可愛いなぁ」と、そんな風に思うのは勿論初めてで。


なんだかくすぐったくなる。


「よーこ?何か良いの見つかったー?」

「んー…まだこれと言って、かなぁ……」

「じゃあ、次のお店行こっか」

「うん…」


きゅ


最近では、葉子からも無意識に手を繋いでくれるようになったから、とても嬉しい。

思わずにんまりしそうな口元を空いてる手で押さえ込んで、手を握り返すとにっこりと微笑んだ葉子が目に映る。


あぁ…俺ってすげぇー幸せ者じゃんか。


そんな風に思って、またにやけそうになる口元を押さえ込んだ。


「光樹くん?」

「ん?」

「あれ見て?…赤ちゃん…、可愛いねぇ」


そう言って無邪気に、途中すれ違ったベビーカーに乗った赤ちゃんに微笑んでる葉子に、俺は複雑になる。


「子供が好きな葉子も可愛いけど、それ、ちょっと妬けるかも。俺のことも毎日そんな風に言ってくれたらいいのにー」


そうやって拗ねた顔をしたら、葉子はびっくりしたような顔をしてから、くすくす笑い出した。


「なに?なんで笑ってんのー?」

「光樹くんは可愛い、んじゃなくて、格好いい…よ?」


そう言って、真っ赤になられてしまったら、何もかも許してしまうじゃないか……。

くそー…マジで、うちの彼女さんてば可愛い過ぎるんですけども!


葉子は、可愛い。

それも、滅茶苦茶可愛いんだ。
これはお世辞抜きに。
それは俺以外の他の誰もがみんな思ってることなのに。

当の本人は、そんなこと微塵も思ったことがないらしく…正直、俺は本当に参ってる。

…本気で、参ってる。





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