🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
 水産物調達を取り巻く状況は激変していた。
 経済成長著しい中国や巨大資本が牛耳るヨーロッパの輸入業者に買い負けすることが多くなると共に、苦労して購入した水産物であってもバイイングパワーを強めるスーパーマーケットや回転寿司チェーンからは買い叩かれていた。
 だから利益の出ない商売が続いていた。
 それはどの水産会社も同じで、利益率が極端に低かった。
 ほとんどが2パーセント以下なのだ。
 どの会社も赤字を回避するのが精一杯だった。
 
 そんな厳しい状況を更に悪化させるように、魚の消費量が減少を続けていた。
 それに対して肉の消費量は増え、一人当たりの年間消費量は肉に逆転されていた。
 60歳以上の層では魚を食べる人はまだまだ多いが、40歳未満の層は魚離れが顕著だった。
 
 買い負け、バイイングパワー、魚離れ、と水産会社を取り巻く環境は厳しさを増していた。
 まるでドツボにはまっているような状態だった。
 なんとかしなくてはいけないのは明白だったが、どの会社も有効な手を打てないままレッドオーシャンでのたうち回っていた。

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