🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
「どうだった?」

 席に戻ると海野が心配そうな表情で迎えてくれた。

「うん……」

 気力を使い果たしていたのでそれ以上口を開くことができなかった。
 それで心配したのか、海野は席を立ち、温かいコーヒーを手にして戻ってきた。
 
「ありがとう」
 砂糖多めでおいしかった。
 一口飲むたびに体の隅々の細胞が生き返るのを感じた。
 それに、口を開くまで海野が黙って待ってくれたので、心を落ち着けることができた。
 大きく息を吐いてから海野に向き合うと、社長と対面した場面が蘇ってきた。

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