🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
        🍴 専業主夫 🍴

「行ってきます」

 妻と美久がいそいそと出ていった。
 今夜は都心のレストランでディナーを楽しむらしい。
「予約席が2席しか取れなかったからごめんね」と美久は謝っていたが、「そんなことは気にせずに楽しんでおいで」と送り出した。
 本音を言えばちょっと複雑な感情がなくはなかったが、それを表に出すわけにはいかない。
 一家の主としての沽券(こけん)にかかわるからだ。
 それに、主夫となった今、留守を預かるのも大きな役目であり、しっかり勤め上げなければならない。
 だから、夕食代として妻から2,000円を渡されたが、千円札一枚しか受け取らなかった。〈質素、倹約、創意工夫〉は何を置いても最優先だからだ。
 それを再度言い聞かせて食品スーパーへ向かった。

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