🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
「美久、あの人のこと、どう思っているの?」

 母の仕事が終わるのを待って、一緒に家路を急いでいる時だった。
 
「あの人って、海野さんのこと?」

「そう。彼は美久のこと好きなんじゃないの」

「え~」

 そんなこと、考えたこともなかった。
 
「絶対そうだと思うわよ。あなたはどうなの?」

「どうって……」

 海野の顔を思い浮かべたが、特別な感情を感じたことはなかった。
 
「単なる同僚だから」

 母がふっと笑った。
 
「本当のこと、おっしゃい」

 母が肘で突いた。
 
「本当になんでもないの!」

 足を速めて、母を置き去りにした。

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